家庭でできる喘息の針灸治療

 一般に喘息の治療には鍼と灸があります。鍼は喘息発作を止める効果はありますが、完治では直接灸をします。ちなみに小児喘息ですが、小児への直接灸は、小児の皮膚が薄くて弱く、直接灸をしますと灸痕が身体の成長とともに大きくなり、大人になると灸痕が直径2〜3cmぐらいに広がってしまいますので厳禁です。子供にはショウガ灸と言って、姜を2〜3mmにスライスし、それに剣山を刺して穴をあけ、それを皮膚に置いて、その上に温灸用モグサを乗せて点火します。子供が熱がったら姜ごとモグサを取り除きます。
 この方法を本で読んだときは、子供にも使えるので、かなり有効なのではないかと思いましたが、実際に試したところ小児喘息を治す効果は余りありませんでした。

 大人の喘息なら確実に治ります。その経穴は大椎,肺兪,膏肓,至陽を使います。

 大椎は、最も大きい脊椎という意味で、頚を前に曲げると、頚の付け根というか背中と首の境目あたりに、ひときわ大きく突き出た背骨が見つかります。手を頭から背に回して背骨を撫でると、首の付け根あたりに突き出た丸い背骨が触れますが、それが隆椎です。隆起している背骨だから隆椎ですが、大椎とも呼びます。大椎穴の位置は、その突き出た骨のすぐ下にある凹みです。その隆椎が、頚の一番下の骨、つまり第7頚椎になります。

 肺は胸にありますから、喘息の治療穴は頚椎の下の背骨、つまり胸椎から始まります。その胸椎の先端、つまり頚椎と胸椎の境目が大椎という治療穴になります。
 まず灸の原則として、坐った姿勢で点を着けたら坐った姿勢で灸をし、うつ伏せの姿勢で点を着けたらうつ伏せの姿勢で灸をするという原則があります。ですから大椎が確定したら、そこでうつ伏せになります。
 これから先の灸点は、自分一人ではできませんので、家族の人に頼まねばなりません。
 うつ伏せになると、その大椎の下から起伏が続きますが、それが一つ一つの背骨です。大椎の直下は第1胸椎、凹んで盛り上がったところが第2胸椎と続きます。

 喘息の灸で関係するのは、大椎,3番目と4番目の凹み,4番目と5番目の凹み,5番目6番目7番目8番目の間の凹みです。最後の5番目から8番目までの凹みは、それぞれの凹みを指で押さえて最も痛むところを至陽とします。そこが灸点になります。背骨の2点は、これで終り。そこに黒マジックで印をつけます。

 次は背中の4点ですが、だいたい左右対称に点を着けます。
 まず膏肓ですが、これは肩甲骨を広げないと、肩甲骨に覆われているので穴位が現れません。これが正確に取れないと、喘息治療する決意のほどがみられないと思われます。
 肩甲骨を広げるには、右手を左腋に当て、左手を右腋に当てるのです。ポイントは両手を交差させるのです。後ろからは、あたかも恋人を抱きすくめてキスをしているように見えます。しかし、前に回ってみると実際には誰もいません。
 この状態で、3番目と4番目の凹み、4番目と5番目の凹みに赤いマジックで点を付けます。3番目と4番目の凹みに付けた点から背骨に垂直な横線を引き、人差指と中指を揃えて親指側を背骨に当て、指の横幅二本分のところに赤マジックで印を着けます。これが肺兪です。
 次に4番目と5番目の凹みにも上と同様なことをしますが、この場合は人差指から小指までを揃え、指の横幅四本分のところに赤マジックで印を付けます。これが膏肓です。
 これで対称の四点が正確に決まりましたが、その赤マジックの周囲を押さえ、最も痛むところに黒マジックで点を付けます。

 以上のような手を定規として使った取穴法では、何のために抱きすくめポーズを取ったのか判りません。勘違いポーズをした理由は、膏肓穴というのは手を定規にして取った場合よりも肩甲骨の内縁に現れることが多く、実際には手で取った膏肓より少し外側の肩甲骨内縁が効果的なのです。ですから実際には触って、最も肉の薄いところを取ります。肋骨の上ではいけません。肋間を取ります。

 鍼灸の場合は、正確な取穴というより反応点を取ったほうが効果がよく、経穴は目安と考えてもらうとよいでしょう。そこから1cm以内ぐらいなら灸治療では十分です。

 次に、黒マジックの上へ綿棒でワセリンを塗ります。なぜ綿棒を使うかと申しますと、手でワセリンを塗るとワセリンが手に着き、モグサを持ったとき離れなくなるからです。

 次にイヨイヨ灸ですが、モグサは事前に用意しておいてください。ここまで点を付けておいて、家族を待たせて薬屋へ走るなどということはよろしくない。それに喘息治療で使うモグサは、薬屋で売っているような上質なものではありません。温灸用モグサと言って、一般施灸用の1/5ぐらいの値段のモグサです。そのモグサは黒っぽく、モグサの火が炭火のようになかなか消えないので、まさに「久しい火」と言うべきものです。このモグサの質の悪さが、治療効果を左右すると言っても過言ではないでしょう。普通のモグサではチクッとするだけで、「熱いかな」と思った瞬間には消えています。温灸用モグサは「熱いかな」と思った瞬間から熱さが増してきます。火が皮膚に達してから30秒ぐらいは燃えていますが、普通のモグサは皮膚に火が達した瞬間に消えてしまいます。
 我々は1kgとかで買いますが、一般の人ならばカナケンの小箱もぐさ灸頭針用50gで十分と思います。買い方は郵便葉書に、〒225-8790、横浜市青葉区美しが丘2丁目17-39、株式会社、カナケン営業部行です。そして裏に自分の住所、コード番号KQ-406、小箱もぐさ灸頭針用50g注文と書けば送ってきます。価格は1300円で、送料と消費税が加わります。振込み用紙がついてくるので、それをもって郵便局で払い込みます。

 モグサは小指ぐらいの大きさに取り、最初に両手で揉み手をして蛇のように伸ばします。その先端を5mmぐらい指先で取り、黒マジックで印を付けたワセリンを塗ってある皮膚にくっつけます。ワセリンが手に着かないように注意してください。モグサが強力なので、できるだけ小さくモグサを切って皮膚に載せます。皮膚との接地面積は直径2〜3mm程度で平坦にして転がらないようにし、高さは5mmぐらいに高くして、線香の手が滑っても皮膚に接触しないようにします。またモグサの先端を細くして火が着きやすいようにします。

 ちょっとくどい言い方になってしまいましたが、なにぶん実地指導しているわけではありませんので細かく書きました。
 前に言葉が足りなかったため、黒マジックのほうにワセリンを塗ってモグサくっつけた人がありまして、モグサが燃えたのに喘息がよくならないという。不思議だなと思って尋ねてみると、自分の身体ではなくマジックに火を着けて燃えるのを見ていた。こうしたことが再発しないように詳しく解説しました。

 こうやって次々と親指と人差指の腹でモグサをひねり出し、黒マジックの場所に付けて点火します。燃え尽きたら、そこを指の腹で押さえ、その場所へ再び施灸します。
 これも以前は「そのモグサの上へすえてくれ」と言っていたのですが、患者さんが、すえるたびに5mmずつ上にズレて、大椎のは頭まで、膏肓のは肩まで上って、これ以上昇りようがないと言われましたので、「モグサの上へすえるのではなく、同じ場所にすえてください」という言い方に変えました。

 こうして一個所に9つずつ、6個所で54つすえたら、十日後に再度すえます。あるいは発作が起きたときにすえても収まるようです。

 こうして3回も治療すれば、だいたいは治ります。治らなければ、翌年も繰り返します。一般に1年で3回すえますが、十日ごとでしたら何度すえてもかまいません。ただ注意すべきことは、効果を高めようとして大きな小指の頭ほどあるようなモグサをすえたり、6馬力より十万馬力がよいだろうと勝手に灸点を増やしてはなりません。それをやった患者さんは、喘息が治ったことは治ったのですが、強力な灸のため身体が弱ったらしく、完治するまでに3年もかかったようです。その患者さんは、私が灸点を付けた後、自分で本を読んで、天突とか中府、おまけに中、気海にまで点を付け、そのうえ温灸用のモグサも小指の頭ほどの大きさにしてすえていました。一般のモグサでも米粒とか麦粒大までですから、強力な温灸用のモグサを小指の頭ぐらいにしてすえ、よく生きていられたものだと生命力に感心しました。

 モグサは箸の先5mmぐらいの大きさで、数も6個所がよいようです。鍼灸書には、いずれも3〜7個所しか施灸していません。恐らく、ちょっと焼いて刺激し、免疫力の目を覚まさせてやろうとの意図からだと思います。しかし身体のほうとしては、そうアチコチに火傷させられると、ちょっと目が覚めるどころか疲れ切ってしまい、却って治りが悪くなったのでしょう。

 前にも不眠症の患者さんに、頭のテッペンの百会に温灸をしなさいと言ったところ、本人が「熱いほうが効果が高いのだろう」と勘違いし、直接灸をしたところ却って眠れなくなってしまった人がありました。眠れないと苦情を言われるので、「まさか直接灸をしたわけではないでしょうね」と言うと、「ハァ、そのほうが効果があると思って」との答えでした。百会は、ホンワカと温かければ眠気を誘いますが、直接灸などをすえると却って陽気が頭に上って眠れなくなると言われているのです。やはり薬や治療法は、用量をきちんと守って、言われるようにやらなければなりません。先人の失敗を繰り返してはなりません。

 モグサに火を付ける線香は、直径が2〜3mmあるような太い線香を使います。それを人差指と中指の第2関節の間で挟み、手のひらをベタッと背中につけて、親指と小指、そして薬指先端を背中に当てて安定させます。そして拳を握り込めば、自然に線香が頭を下げて点火します。線香の火は先端で点火してはなりません。先端は灰に覆われやすくて火力が弱いのです。火と線香の境目で点火します。

 私の鍼灸学校時代のパートナーは、灸の下手な人でした。なぜか習慣で鉛筆握りをし、空中に手を浮かせて施灸したのです。手も振るえていましたので、お灸に1回火が着くまで3回ぐらいは皮膚に線香の火が当たり、何度も熱い思いをしました。これが本当の熱い思いです。しかも線香の先端で火をつけますので、たいていは線香を離すと同時に、火の着いたモグサは線香の先にくっついて逃げてしまうのでした。このうえ丸い球状のモグサを作りますと、火の着いたモグサボールが背中を転げ回って熱い思いをします。
 まあ私などは軽いほうで、こうした苦情を言ったら、同級生が「あんたは、まだいい」という。どうも鍼の頭にモグサを挿して灸をしていたら、途中でモグサがダンゴ状態でスコンと落ちたらしいのです。すぐに取ればよいのですが、燃えてるモグサに触ると火傷すると思って、その男は熱がっているのを茫然と見ていたらしい。その結果は直径3cmぐらいの痕が残ったという。灸頭鍼の灸はモグサの質が悪くて熱く、しかも直径が3cmぐらいあるので、私のように線香が皮膚に当たったぐらいでは済まないことが想像されました。

 とにかく喘息の灸のコツは、温灸用の悪いモグサを使うことです。一番身近な例ですが、私は嫁の家にマス夫さんしてますが、ある日、嫁のお母さんが、私を近所のお婆さんの家へ連れてゆきました。5〜6軒も離れたところです。その人が喘息だということで、部屋がとても寒くて灸をすることをためらったのです。そのお婆さんは喘息のため点をおろしてもらい、何年も灸をすえているが一向によくならないとのことでした。
 モグサを見ると、黄土色した極上品モグサ。「これではダメですよ」と言って、持参した茶色っぽい温灸用モグサをすえると、お婆さんは「本当だ。今までのモグサはちっとも熱くないが、これは結構応える」とのこと。そこでモグサを握り拳大ほど渡し、今回の施灸痕に続けてすえてもらうことにした。そのあとお婆さんの妹と称する人が来院し、姉の喘息が治ったと教えられました。これなどは灸点の違いもあるのでしょうが、効果の違いを生み出した主な原因はモグサの質でしょう。

 中国での喘息治療は、割治と埋殖が中心です。割治は穴位を少し皮膚を切開して脂肪組織を取り出す方法、埋殖というのは滅菌したウサギの脳を皮下へ入れたり、他人の皮膚を移植したり、埋殖で手軽な埋線療法では、手術用の縫合糸や絹糸を皮下に埋め込む方法です。こうした異種蛋白を入れることで免疫力を呼び覚ますのです。直接灸も皮膚が焼けて変性し、皮膚表面に異種蛋白ができるので、施灸した部分を身体が異物だと感知して、免疫力の攻撃を受け、そこが赤くなって痒くなります。埋殖療法で別の蛋白質を皮下に埋め込んだときも、全く同じ反応が起きます。つまり中国人は直接灸をすえて痕が残るのを嫌い、直接灸の代わりに異種蛋白を入れる方法を考えたということでしょう。

 これから導かれる結論は「直接灸をしても熱量が足りなければ皮膚は焼けず、皮膚が変性して異種蛋白ができないのだから免疫力が向上しない」となるのです。だから最低限、皮膚が変性して異種蛋白ができるレベルの熱が必要です。それには姜も温められないような高級モグサでは効果がなく、それを喘息治療に使うならば灸は効果のないものとのレッテルを貼られかねません。

 日本の鍼が、無痛を追求した結果、鍼が細くて滑らかになり、痛みもないが効果も劣るようになった如く、灸も瘢痕を残さないように、熱さのないようにを追求した結果、不純物を必要以上に取り除いて火力の足りないモグサとなり、治療効果の劣る物になったのではないでしょうか? 当然、一般のモグサを小指の頭ぐらいの大きさにしてショウガ灸をしても、火は姜に達した瞬間に消えるため、まったく冷たいままで、一向に効果がありません。
 
質問:私は、小児喘息を5歳頃に発病してから、34歳の今日まで梅雨と台風の季節になると、1、2年おきに喘息の発作におそわれています。
 先日も喘息の発作の前兆のくしゃみが立て続けに出たため、試しにHPで紹介されていた”家庭でできる喘息の鍼灸治療”の6箇所のツボにお灸をすえてみました。
 大抵の場合、夜中に発作で目が覚めてから翌日の朝まで眠れない状態になるのが、目が覚める事もなく朝まで目が覚めませんでした。ツボにお灸をすえるだけで眠れたことに、驚きと感謝でいっぱいになりました。ただ、胸や背中が苦しくないのに、ぜぇ〜ぜぇ〜と、息を吐くと音がでるのが不思議でした。音が出ると、喘息になったような気持ちになるのに、背中も胸も軽くて変な気分です。有難うございました。
 お灸で喘息の発作が楽になったので、母の甲状腺機能低下症という病気もお灸で楽になるのではないかと思い、メ−ルさせていただきました。母の病気は30歳前に発病し、今日の58歳まで毎日決められた薬を飲んでいます。もし、お灸をすえることで薬の量を減らすことが出来れば、と考えています。喘息のツボのように、家庭でお灸が出来るようなツボで甲状腺の機能低下症に効くツボはあるのでしょうか。もしあれば、私がお灸をすえようかと考えています。私達が住んでいるところは、愛媛県の松山に住んでいますが、素人でツボを見つけることが難しいのであれば、先生のように中国歴伝の鍼灸をされている先生をご存じないでしょうか?
 HPで紹介されている本を購入して勉強しようかと考えましたが、サンプルを読んでみたところ、難しすぎて断念しました。宜しくお願いします。



  答え:「甲状腺機能低下は灸で治りますか?」という質問ですが、灸の治療範囲は少なく、肝炎や喘息、リウマチなどには効果があるようですが、甲状腺機能低下に効果があるという文献は見あたりませんでした。
喘息の灸に関しては、今までの治療経験から100%治癒する自信があるので紹介したのですが。あなたも10日ごとの悪いモグサによる施灸を繰り返していれば、そのうち喘息が治るでしょう。またヨーグルトを1日250ml飲むと調子が良いようです。
 甲状腺機能低下ですが、鍼灸の本に記載されているのは甲状腺機能亢進ばかりでした。私の『難病の鍼灸治療』などにも甲状腺機能亢進に対する鍼治療は記載されていますが、甲状腺機能低下については記載されていません。というわけで素人が、灸を使って甲状腺機能低下を治療することは難しいと思います。
 そこで鍼灸師が、甲状腺機能低下を治療する方法として二つ考えられます。
 一つは、甲状腺機能亢進の治療を甲状腺機能低下に使用してみる方法です。そんなことしたら却って甲状腺機能低下が悪化するんじゃあないの? と思われるでしょうが、それが鍼灸と漢方薬が違うところで、鍼灸の効果は正常に戻すことですから正常な人には効果がありませんが、異常な機能を正常に戻してくれます。漢方薬では、正常な人が使うと効果がないばかりか悪化してしまいます。
 二つめの治療法は、甲状腺に対して治療するのではなく、現れている症状を分析して症状を消してしまうことです。
 一つめの治療法は、やはり喉とか後頚部への刺鍼が中心となるでしょう。
 二つめの治療法は、具体的な症状に基づいて治療しますので、一概に断定できません。

 どこか紹介してほしいとのことですが、私は付き合いの非常に狭い人間ですので、希望に応えられそうにありません。中国に留学していた連中は「留学者連絡会だったかな?」があるので、そこに問い合わせれば近くの留学者を紹介してくれるかもしれませんが、留学したからといって真面目に勉強していたとは限らず、カラオケ行って姐ちゃんと遊び歩いていた留学生もいるわけですから一概には言えません。また留学していなくとも、自分で独学して中国語の本ぐらいは読める人もいるでしょうから難しい判断です。

 私も鍼をして欲しいときは、よく知った人にしか打ってもらいません。相手のレベルを知るのは、非常に難しいのです。まさかペーパーテストするわけにも行きませんから。

 昔の鍼灸書にある鍼灸師の見分け方は、医学知識が豊富かどうかを見ろとあります。
どんなに仁愛の心を持っていたところで、医学知識がなければ、死にゆく赤ん坊も、老人も助けられない。それが果たして、仁愛の心を持っているといえるのか? と『鍼灸大成』は問いかけています。

 知識があるなしの見分け方ですが、かなり一般の常識とは外れています。
 例えば、私などは何冊も本を出しているので、ちょっと考えると知識の豊富な鍼灸師に思えます。それに関東方面では名前を知っている人が多いので、技術のありそうな鍼灸師に思えます。ところが、そんなこと鍼灸の知識と全く関係ないのです。鍼灸院が盛況だということも、全く関係ありません。

 判断基準は、その鍼灸師が鍼灸書を沢山持っていれば、まず医学知識が豊富な条件となります。
 次に、本を沢山持っているかといっても、飾りとして置いてあるのかもしれません。使い込まれているかどうかを調べます。また本が多すぎて、別の書庫に保管してあるのかもしれませんが、それでも何十冊かは手元においてあるはずです。

 二つめに、自分の症状が起きている原因を尋ねてみることです。医学知識が豊富な鍼灸師は、東洋医学だけでなく、現代医学にも精通していますから、患者が納得できるような説明をしてくれるはずです。必ずしも専門用語を使って解説してくれるとは限りません。それは素人が尋ねていると思っているから。納得できなければ要注意です。

 三つめは実績です。その近所で、その鍼灸師に治してもらった人が沢山いれば、それは医学知識の豊富な鍼灸師です。患者は大勢来ているのに、治った人は一人も居なかったなどということもあります。本によると、知識の豊富な鍼灸師は、他の人より早く治すらしいのです。それに人を殺すこともない。下手は不治の病に手を出して、結果的には患者が死んでしまい、評判を落とすので、手に負えない患者は最初から断れと書いてあります。

 鍼の消毒や解剖知識は、もっとも基本的なことなので、言うまでもないのですが、
 実は、私が鍼灸をしてもらわないのは、昔、頚が痛くて回らなくなったとき、親に紹介された鍼師の所へゆきました。自分の鍼を持っていったのですが、「人の鍼は使わぬ」とか言って、木の箱からグニャグニャに曲がった鍼を取り出して、それを指でしごきながら刺そうとするのです。「せめて消毒ぐらいしてくれ」と言うと、真っ黒になった手ぬぐいのようなものに消毒アルコールをつけて拭かれました。そんなレベルですから当然にして鍼の効果は全くなし。そこで、その鍼灸師は、「まだ治らんのか! よし。これが最終の奥義」とかいって鍼したのですが、まったく痛みが消えず、「もう治りました」と言って帰りました。あとで親に「紹介された鍼灸院へ行ってみたが、まったく効果がなかった」と言いますと、「肩こりぐらいなら効果があるけど、寝違いはだめだったか」との答え。本当に腹が立ちました。結局、自分で頚に鍼をして治したのですが、あとから考えると、あんな使い回しの鍼で、よく感染しなかったなと、自分の幸運にホッとしました。それからは自分の知り合いにしか、刺鍼してもらわなくなりました。保健所も、昔に開業したところは二度と再検査しないようです。

 消毒と解剖知識は重要で、それがなくて鍼すれば殺す可能性だってあります。灸では、そのような知識は必要ありません。
つまり鍼灸院のチェックは、まず事前に治った人がいるかどうかチェックすること。それが何回で治ったか、本当に鍼灸で治ったのかを尋ねます。それから、どんな病気が治ったかも尋ねます。それは全ての病気が鍼灸で治るわけではありませんし、治療師によって得意や不得意があるからです。運動系の痛みや麻痺は得意だが、まるで内科はダメという人もあるので、同じ症状の人が治った鍼灸院へ行きます。
 そして鍼灸院へ行ったら、消毒設備や書籍をチェックします。まあ、この二つをチエックしておけば間違いないと思います。

 特に甲状腺機能低下のような、あまり鍼灸書に記載されていない症例では、いろいろと治療法を文献で調べて説明してくれる鍼灸師でないと信用できません。そうそうルーチンにできる患者ではないですから。


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 Q:私は喘息をもっています。水泳・漢方薬をためしているのですがなかなか難しいのが現状です。知り合いに聞くと灸でなおったというひとがいました。その先生にしてもらえるといいのですが、昔の事でどこだったかわからないそうです。そちらでなおることは可能ですか?

 Q:質問:母は長年、喘息をわずらっており、去年まではあまり発作もおきていなかったのですが、今年にはいってから4、5回発作がおき、そのつど入退院を繰り返しています。喘息にはお灸がよいとかいてありましたが、本当に完治しますでしょうか?
 
 
Q:質問:幼少より小児喘息患い、大人になるにつれ、のぼせ、いらいら、赤面、慢性扁桃腺、自律神経失調症等々の症状を抱えながら,なんとか暮らしているわけですが,先日、新聞で「交感神経緊張型」の記事を読みました。それによると喘息の薬がまさに交感神経刺激剤ということで、10数年飲み続けた結果が、今の私の自律神経失調症の症状を引き起こしているのではと、自分で勝手に解釈しているわけです。その後,鍼というものが、今の症状を和らいでくれるものということを知りまして,近くの鍼灸治療院に通うことにしました。そこでは、鍼のほかに、しゃもじのようなもので、背中をごしごしこする治療をしていますが、30年近く、悩まされている神経のアンバランスからくる諸症状が治るものなのでしょうか。新聞の記事では,交感神経遮断手術が有効だと書いてありました。


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