●  最新鍼灸治療165  

最新鍼灸治療165病
著者 張仁
翻訳 浅野周  
発行所 (株)三和書籍
定価 6,510円A5判 602頁 ISBN978-4-86251-019-8(『難病の鍼灸治療』の増補版)
過去の推薦文
※75種の難病に関する古代から現代、中国国内から海外までの治療データの集大成!
 難病の鍼灸治療は、私が中国から帰り、鍼灸院を開くに当たって自院の治療マニュアルを作ろうと、さまざまな書物の処方を集めていたときに、たまたま目に留まった本です。最初は現代臨床鍼灸聚英という本を翻訳しましたが、やはり満足できず、さまざまな書物から病気に対する鍼灸処方を集めてワープロに打ち込んでいました。そうして疾患に対する最大公約数的な処方集を作ろうとしたのです。その資料収集過程で本書が目に留まり、自分と同じ事をしている人がいることを知り、自分でマニュアルを作るより、これを訳して治療マニュアルにしたほうが早いと翻訳しました。
 もともと内輪で、同級生グループに効果のほどを試してもらおうと思ったもので、世に出す考えはありませんでした。その後、後輩(今村)に出版を勧められ、出版社も紹介されたのですが、当時は内容が専門的すぎるということで出版を断られました。しかし、この書がエイズに対する治療法を記載していたため、敗者復活戦で日の目を見た本です。臨床の実践書として、けっこう定評がありましたが、本来はポシャってしまった本なのです。
 最初に出版した本なので、出版と言うことがよくわからず目次を確認しなかったため、特に目次で欠陥が目立つ書物になってしまいました。これ以降はキチンと目次まで自ら校正するようにしました。
 この本に全知という奇穴が記載されていると思います。その奇穴は肩にあり、第2~第3胸椎の間に刺入すると記載されていると思いますが、それは効果がありますが、かなり危険な方法と思われるので推奨しません。そもそも全知とは側頚部にあって胸椎に刺入できないと思うので、原作者の勘違いではと考えます。やはり五十肩の治療には、頚5~胸椎2までぐらいの夾脊穴、そして肩井から肩や肩への透刺が安全確実と思います。
 ですが、本書にある胃下垂の治療、長鍼を巨闕から骨盤に向けて刺入し、グルグル一方向へ回転させて胃壁を鍼体に巻き付け、胃底を左手で支えて引っ張り上げながら押し上げるなどの方法や、温灸用モグサを使った直接灸による喘息治療など、普通の鍼灸法ではとても治らなそうな疾患が、3回ぐらいで治癒してしまう効果には驚かされます。
現在の推薦文
 前回の『難病の鍼灸治療』は、難病に対する中国の歴史などを省いたかどで、原作者から怒られました。
 今回は原作者が私に合わせて難病に対する中国の歴史などを省いてくれました。その代わり75病の難病治療から165病へと倍以上に増えました。
 たぶん翻訳者のレベルもアップしていることでしょう。 現在は『急病の鍼灸治療』を翻訳しています。
 『難病の鍼灸治療』と『急病の鍼灸治療』は2500円とと3000円だったので、弟子に「こんなに安い鍼灸本! 信用できるんかいな」と言われてしまいました。
 今回の6510円なら、信用できるじゃろ! でも本は値段じゃないワイ! 内容じゃっ!

目次(数字はページ数)
 内科疾患:インフルエンザ3、急性黄疸型肝炎5、慢性ウイルス性肝炎8、急性細菌性赤痢13、細菌性食中毒17、伝染性下痢18、流行性出血熱19、ライム病23、慢性気管支炎24、気管支拡張症38、シャックリ40、慢性胃炎44、消化性潰瘍48、胃下垂51、急性胃軸燃6、慢性潰瘍性大腸炎57、肝硬変63、狭心症64、急性の心筋梗塞69、不整脈71、リウマチ性心臓疾患74、リウマチ熱77、高血圧症81、閉塞性血栓性血管炎85、再生不良性貧血91、血小板減少性紫斑病93、関節リウマチ96、重症筋無力症(眼型)104、エイズ106、強皮症110、エリテマトーデス112、肥満症116、痛風121、パセドウ病125、糖尿病130、高リポ蛋白血症136、脳梗塞140、仮性球麻痺146、植物人間149、震顫麻痺151、遺伝性運動失調155、血管性片頭痛158、急性脊髄炎163、筋萎縮性側索硬化症164、痙性斜頸165、急性感染性多発性神経根炎168、顔面神経麻痺169、チック症177、三叉神経痛181、坐骨神経痛185、大腿神経痛190、レーノー病191、先端紅痛症195、レストレスレッグス症候群197、幻肢痛201、老年性認知症203、統合失調症206、癲癇210、ヒステリー215、神経衰弱218、慢性腎炎220、陰萎225、遅漏229、精液減少症231、悪性腫瘍234、放射線障害240。
 外科疾患:急性炎症247、フルンケル250,丹毒254、急性リンパ管炎256、急性乳腺炎258、頚椎症263、骨折268、対麻痺272、五十肩275、テニス肘279、バネ指283、腱鞘嚢腫287、寝違い290、ぎっくり腰293、潰瘍病の急性穿孔298、胆石症300、急性虫垂炎303、胆道回虫症307、泌尿器系結石310、直腸脱314、痔316、輸液輸血反応320、リンパ結核322、乳腺房増殖325、慢性前立腺炎329、前立腺肥大334、下肢の静脈瘤336、毒蛇の咬傷338。
 婦人科疾患:無月経症343、生理痛344、急性機能性子宮出血349、子宮下垂/子宮脱352、子宮筋腫355、慢性子宮頚管炎357、慢性骨盤内炎症性疾患358、不妊症363、外陰白斑症366、逆子370、習慣性流産374、人工妊娠中絶376、難産378、乏乳症380。
 小児科疾患:乳児の下痢387、ヒキツケ391、水頭症393、小舞踏病396、汚言症398、おたふく風邪401、百日咳405、小児の脳炎後遺症408、小児麻痺414、多動症418、オネショ421。
 五官疾患:急性結膜炎431、麦粒腫434、斜視437、青少年の近視441、慢性単純緑内障445、老人性白内障449、中心性網膜炎453、視神経萎縮455、皮質盲459、色盲461、網膜色素変性症465、感音性難聴468、急性化膿性中耳炎473、メニエル病476、萎縮性鼻炎479、アレルギー性鼻炎481、蓄膿症486、急性扁桃炎489、慢性咽頭炎492、声帯の病変495、顎関節症498、アフタ性口内炎503、歯痛507。
 皮膚疾患:円形脱毛症513、化粧による顔面黒皮症517、老人斑519、酒鼻524、ニキビ526、ソバカス531、イボ533、神経皮膚炎539、乾癬544、白ナマズ549、ジンマシン554、ヘルペス557、しもやけ562、湿疹564、うおのめ567。
 保健:麻薬中毒573、禁煙577、禁酒583、老化防止585、疲労解消589、あがり症591。


● 本文内容見本
 
  142、顎関節症 P498~503
 【概述】
 顎関節症は口腔科に多い疾患の一つである。顎関節の音と痛み、口の開きが大きくなり過ぎたり小さすぎたり、口を開いたとき斜めになったり歪んだり、関節が堅く締まるなどの症状があり、耳鳴りや目まい、頭痛などを伴う。病歴が長くて再発しやすい。20~40歳で起こりやすい。本病の原因は現在でもはっきり判らず、特に治療法もない。近年の口腔科の医療従事者にとって重要な課題の一つである。
 顎関節症の機能障害に対する現代の報告は、1950年代の中期から始まっている。局部取穴を主として適当な操作し、満足できる効果を上げている。それ以降、各地で臨床報告があり、現代医学の雑誌にも、多くの症例が発表されている。80年代になってから、本病の鍼灸治療に関する文献は飛躍的に増えてきた。穴位刺激では伝統的な鍼灸以外、電気鍼、竹罐、灸頭鍼、レーザー鍼、耳鍼などが使われ、症例も百例以上観察したものが多い。さらに新穴も発見された。現在では本病の治癒率が90%前後である。各種の治療効果も似たり寄ったりである。
 最近の研究により、刺鍼は病変部の血液循環を改善し、患部の温度を上昇させることが判ったが、そうした協調作用により筋肉の痙攣を解除し、下顎の運動を正常に回復させる。
 【治療】
 体鍼の1
 ☆取穴
 主穴:下関、嚼中、聴宮。
 配穴:通里、太陽、足三里、合谷。
 嚼中穴の位置:下関穴と頬車穴をつなぐ中点。
 ☆治療法
 主穴を主とし、配穴を組み合わせ、一回の治療で3~4穴を選ぶ。患者は臥位か坐位とする。まず直刺で刺入し、軽く捻転と提插し、得気があれば中の強刺激で1~2分ほど平補平瀉して鍼感を強める。30分置鍼し、5~10分ごとに前と同じ方法で運鍼する。抜鍼後、痛みがはっきりしているところを1~3分マッサージする。一日1回治療し、10回を1クールとする。
 ☆治療評価
 ○治癒-症状が完全に消え、機能も正常に回復した。○著効-症状が消え、ほぼ機能も正常になった。○有効-痛みが減ったか、一つか一つ以上の症状が消え、機能も前に比べてよくなった。○無効-症状、状態とも変化しない。
 全部で133例を治療し、治癒125例(94%)、著効4例(3%)、有効4例(3%)で、有効率100%だった。治癒率は94%に達した。

 体鍼の2
 取穴
 主穴:外関、耳門、頬車。
 配穴:合谷。
 ☆治療法
 主穴は損傷部分の状況に基づいて取穴する。○外側翼突筋の機能亢進や痙攣および関係する関節後部が損傷していれば同側の外関を使う。○関節後部が損傷していれば耳門を使う。○内側翼突筋が痙攣していれば頬車を使う。それぞれに合谷を組み合わせる。すばやく切皮し、得気があったら中の強刺激すると同時に、患者に患部を動かさせ、3~5分置鍼したあと、さらに一回運鍼して抜鍼する。隔日1回治療し、6回を1クールとして、各クール間は5日開ける。
 ☆治療評価
 全部で145例を治療し、治癒133例(91.8%)、有効6例(4.1%)、無効6例(4.1%)で、有効率95.9%だった。治癒率は91.8%に達した。

 鍼灸
 ☆取穴
 主穴:聴宮、聴会、下関、阿是穴、頬車。
 配穴:肝兪、腎兪、足三里、合谷。
 阿是穴の位置:病変局部。
 ☆治療法
 一回の治療で、主穴から2~3穴取り、配穴を1~2穴加える。28号1.5~2寸の毫鍼を使い、刺鍼して得気があれば平補平瀉したあと置鍼し、1寸の棒灸を鍼柄に挿し、下から点火する。もし患者が熱すぎると感じたら、下に紙を敷く。阿是穴は刺鍼せず、棒灸で4~5分雀啄灸か回旋灸し、局部を赤くする。15~20分置鍼する。毎日1回治療し、10回を1クールとして、各クール間は4~5日休み、さらに治療を続ける。
 ☆治療評価
 全部で48例を治療し、そのうち4例は阿是穴の灸だけで治癒した。残りの44例は、治癒30例(68.2%)、著効10例(22.7%)、有効3例(6.8%)、無効1例(2.3%)で、有効率97.7%だった。

 電気鍼
 ☆取穴
 主穴は2組に分ける。a上関、耳門、翳風。b下関、聴宮、頬車。
 配穴:合谷。患側の筋肉萎縮には足三里と内関を加える。病気が長引き、患側の顎が隆起したものは地倉と大迎を加える。頭痛を伴えば太陽、頭維、率谷を加える。
 ☆治療法
 主穴は一回の治療で1組を使い、患側にだけ刺鍼する。配穴は一般に両側の合谷を使い、症状に基づいて配穴を加える。刺鍼して得気があったらパルス(G6805機)に繋ぐ。顔面部に陰極、肢体の穴位には陽極を繋ぐ。また上部に陽極、下部に陰極を繋いでもよい。8~12Vで、疎密波を使い、電流の強さは弱から徐々に強くして行き、患者が耐えられる限度まであげる。もし片噛みによって顎の両側が非対称、つまり患側の顎が隆起していれば、先に合谷を強く瀉してから通電する。通電時間は10~15分程度とする。一日1回治療し、10回を1クールとして、各クール間は3日休んで、さらに治療を続ける。
 ☆治療評価
 全部で68例を治療した。1回の電気鍼治療で口の開閉障害が軽減したものは68例、9回治療して口の開閉障害や顎関節の痛みが消えたものは52例、関節の音は12回の治療が終わったあとから徐々に消えていった。

 耳鍼
 ☆取穴
 主穴:顳頜点。
 配穴:面頬、上頜、下頜、三焦、肝、胆。
 顳頜点の位置:対珠の耳軟骨湾曲部の外縁で突出した点。『耳穴国際標準化方案』の対屏尖区に当る。
 ☆治療法
 一般に主穴のみを使い、効果がはっきりしなければ配穴を加える。敏感点を探し出した後、30号0.5寸の毫鍼を使って、直刺で刺入するとはっきりした痛みがある。はっきりした痛みのあるほど治療効果がよい。もし何の痛みも感じなければ、鍼を元の位置まで引き上げて方向を変え、痛む点が見つかるまで探索する。痛みのある耳に刺鍼するが、両耳が痛ければ、両側に刺鍼してもよい。20分置鍼し、その間一回捻転する。捻転の強さは患者の感受性によって決める。また7㎜四方のバンソコウで王不留行の種や磁石粒を穴位に貼り付けてもよい。按圧して、はっきりした痛みがあればよいが、もし何の感覚もなければ、前後上下に移動させる。15~20分按圧する。これも病状によって片側、あるいは両側を使う。配穴は一回の治療で3~4穴を取り、耳穴圧丸法で使う。3日に一回耳鍼と耳穴圧丸し、3回を1クールとする。
 ☆治療評価
 ○治癒-1~2クールで、三つの主症状(痛み、音、運動制限)が消えた。○有効-3クール以上治療したが、やはり症状の一項目が消えない。しかし軽くなった。○無効-3クールの治療を続けても、症状の改善がみられない。
 全部で175例を治療し、そのうち123例は主穴だけを使って治療し、上の基準に当てはめると、治癒56例(45.5%)、有効60例(48.8%)、無効7例(5.7%)で、有効率94.3%だった。残りの50例は体鍼を併用して治療し、治癒49例(98%)、無効1例(2%)だった。

 皮内鍼
 ☆取穴
 主穴:阿是穴。
 阿是穴の位置:圧痛点。多くは下顎頭の外側。
 ☆治療法
 34号の5㎜の皮内鍼を使う。局部を消毒して阿是穴に刺入し、バンソコウで固定し、按圧して怠くて腫れぼったい感じを起こさせる。患者に自分で毎日1~2回按圧するように申し付ける。一週間に2回取り替え、3回を1クールとする。
 ☆治療評価
 全部で30例を治療し、著効23例(76.7%)、有効3例(10.0%)、無効4例(13.3%)で、有効率86.7%だった。

 薬罐の1
 ☆取穴
 主穴:下関、頬車。
 ☆治療法
 一回の治療で1穴に抜罐する。
 操作:ポンプ式の小さな抜罐に薬酒5mLを入れ、縁にワセリンを塗って、穴位の上へ薬酒がこぼれないよう抜罐を密着させる。そのあとポンプを使って空気を抜き、穴位に抜罐を吸い着かせ、薬酒が皮膚と完全に接触するようにして20分留罐する。隔日1回治療し、2つの穴位を交互に使って、10回を1クールとする。
 薬酒の作り方:伸筋草60g、鑽地風60g、威霊仙60g、三七30g、木瓜120gを焼酎2500mL中に2ヵ月浸したものを使う。
 ☆治療評価
 全部で50例を治療し、前の基準に当てはめると、治癒12例(24%)、著効17例(34%)、有効19例(38.0%)、無効2例(4.0%)で、有効率96%だった。

 薬罐の2
 ☆取穴
 主穴:上関(客主人)、下関、頬車、大迎、天牖、瘈脈、翳風、阿是穴。
 阿是穴の位置:圧痛点。
 ☆治療法
 薬物:防風、荊芥、川烏、蒼朮、甘草、紫蘇、独活、桂枝、秦艽、草烏、川椒、牛膝、羌活、麻黄、威霊仙、川芎を各15g、紅花6g、蘄艾60g。
 操作:毎回2~3穴を取るが、疼痛天は必ず使う。上の薬物を布袋へ入れ、鍋が沸騰したら竹罐を入れて3~4分煮る。患者を坐位にし、術者は箸か長いピンセットで煮えた竹罐を取り出し、鍋摘みで竹罐を持って水気を振り切ったあと、ただちに穴位へ被せて吸着させる。鍋から取り出しながら吸着させ、すべての穴位に抜罐したら10~15分留罐する。毎日か隔日に1回治療し、5回を1クールとして、各クール間は3~5日開ける。
 ☆治療効果の評価
 全部で44例を治療し、治癒40例、治療を中断したのが4例で、有効率90.9%だった。治癒した症例では、全員が4クール以内で治癒した。

 指圧(指鍼)
 ☆取穴
 主穴:阿是穴。
 配穴:下関、頬車、翳風、完骨、風池、合谷。
 阿是穴の位置:咀嚼筋群の起点か止点。
 ☆治療法
 患者を側臥位か坐位にし、患部に少量のテレピン油か液体パラフィンを塗り、術者は80~110回/分の速さで、下関→頬車→翳風→完骨→風池→合谷と次々に揉む。続いて親指の腹で阿是穴を固定し、もう一方の親指の腹で咀嚼筋群を筋線維の方向に沿わせて往復させ、按圧する。指圧の強さは患者が耐えられる程度とし、5分ほど按圧したら再び穴位を10分ずつ点圧する。毎日か隔日に1回治療し、5回をクールとする。
 ☆治療効果の評価
 以上の方法にて、全部で50例を治療した結果、治癒33例、有効14例、無効3例で、有効率94%だった。

 小寛鍼
 ☆取穴
 主穴:下関、頬車。
 ☆治療法
 小寛鍼は、特製の剣形ステンレス鍼で、6種の長さがある。頭面部では3号鍼(長さ11㎝、幅35㎜、厚さ18㎜)を使う。
 主穴は全部取り、消毒したあと、術者は右手親指と人差指で鍼体を挟み、小指で鍼柄を押さえ、中指と薬指で鍼体を支えて、鍼尖と皮膚が垂直になるように刺入する。下関には0.5~1寸、頬車には0.5~0.8刺入する。抜鍼したら素早く閃火法で鍼孔へ1分ほど抜罐し、約1mLの瘀血を吸い出す。あとは消毒ガーゼで血を拭き取り、穴位を1分ずつ按圧する。次に頬骨弓の下に沿って、頬骨弓と平行に3分ほど按摩し、さらに咀嚼筋の走行に沿って上下に軽く12回擦る。7日に1回治療し、5回を1クールとする。
 ☆治療効果の評価
 以上の方法にて73例を治療し、治癒72例、有効1例で、有効率100%だった。

 レーザー鍼
 ☆取穴
 主穴:下関、合谷。
 ☆治療法
 低出力のヘリウム-ネオンレーザーを照射する。2穴とも使う。光源との距離は70~80㎝で、垂直に照射し、刺激量は8mWとするが、10mWを使うこともある。各穴に8~10分照射する。一日1回治療し、10回を1クールとして、各クール3~5日開ける。
 ☆治療評価
 全部で22例を治療し、治癒8例(36.4%)、著効10例(45.4%)、有効4例(18.2%)で、有効率100%だった。

 穴位注射
 ☆取穴
 主穴:下関、聴宮。
 配穴:合谷、三間、内庭。
 ☆治療法
 薬液:複方当帰注射液。
 毎回一側の主穴を選び、鉛筆を持つように注射器を握って穴位へ刺し、0.5~1寸の深さに刺入して、上下に提插し、得気があれば薬液0.5mLを注入する。その他の穴位は毫鍼を1~1.5寸刺入し、症状に基づいて補瀉したあと15~20分置鍼する。主穴は交互に注射し、隔日に1回治療して5回を1クールとし、各クールは3日開ける。
 ☆治療効果の評価
 全部で86例治療し、治癒70例、著効11例、有効5例で、有効率100%だった。

  本書に記載されている小鍼刀や平頭火鍼とは「いったい如何なる物か?」と疑問に思われる方も多いでしょう。そこで小鍼刀や平頭火鍼を希望者に送付したいと思います。詳しくはコレ
と何故このページを選んだかですが、これを見て顎関節症の患者さんが来てくれると、ものすごく楽。正直いうと脳卒中や半身不随の患者さんはシンドイ。ただそれだけの理由で、治療の面倒な疾患は載せませんでした。

※本文は出版社の了承を得ていません。

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